May.26.2010 UOVAカーボンモノコックF4発進
●東京R&Dが西日本F4シリーズ2連勝でポイントリーダー!
2月、東京R&DはUOVAカーボンファイバー・モノコックを使用する最初のF4 「RD10W」を完成させました。シェイクダウンテストが終了すると直ぐ、西日本F4シリーズ開幕戦が行われる岡山へ送り込まれました。
開発が遅れていたために未完成の部分も多々あったようですが、まず走らせることが肝心と、直ちに実戦に投入されることとなりました。
それでもそこそこの性能を発揮して、西本直樹が操縦するRD10Wはポールポジションを獲得しましたが、残念ながら、決勝レースでは熟成不足が露呈して3位でフィニッシュすることとなりました。
ニューマシンのRD10Wには改良すべき点がいろいろあるようでしたが、もう少し走らせて改良点を洗い出してから対策を講じた方が効果的であると判断し、急遽、開幕戦の1週間後、ツインリンクもてぎで開催される東日本F4シリーズの開幕戦にも参加することにしました。
ニューマシンのコンディションは岡山と同じですから、西本直樹が操るRD10Wは決勝レースを4位でフィニッシュとなりましたが、あらかじめ改良に向けてのテストに的を絞っていたので、大変に有効なデータが収集出来たようです。なお東京R&Dは、今後は西日本シリーズを中心として活動することを発表しています。
当初のRD10Wの問題点の多くは、アルミ・モノコックからカーボンファイバー・モノコックへの切り替えに起因していたようですが、東京R&Dもカーボン・コンポジットを熟知した企業ですから、直ちに対策を講じてRD10Wを改良し、4月に鈴鹿で開催された西日本シリーズ第2戦に投入しました。
改良なった西本直樹が操るRD10Wは、圧倒的な速さでポールポジションを獲得しました。決勝レースで西本直樹はスタートをミスした様ですが、1度もトップの座を譲ることなく素晴らしい速さでF4初優勝を成し遂げました。
今週、岡山において、西日本シリーズ第3戦が行われました。
予選、そして決勝レース共に豪雨の中で行われましたが、西本直樹が操るRD10Wは、2位を0.8秒も引き離しポールポジションを獲得しました。決勝レースはセイフティカー先導によるローリングスタートで開始されました。スタートから西本直樹は、素晴らしい速さで2位を引き離しにかかりました。
ヘビーレインのコースコンディションですから、1つでもミスをすれば自滅することとなりますが、快走を続け、2位との差が3秒程度まで広がると、西本直樹は2位との間隔をコントロールする走りに切り替え、危なげなくトップでチェッカードフラッグをかいくぐりました。
東京R&Dは西日本F4シリーズ2連勝です。
●ムーンクラフト「MC-090」デビュー
UOVAカーボンファイバー・モノコックを使った2台目のF4は、ムーンクラフトが開発したMC-090でした。MC-090は新たにトムスが開発したトヨタ3ZRエンジンを搭載しています。
ムーンクラフトMC-090/トムスの最初のマシンは、趣味でF4に参加するドライバーが購入しました。カーボンファイバー・モノコックの高い安全性が評価されたようです。メンテナンスは筑波サーキットを拠点とするメッカが担当します。
マシンは4月に完成しましたが、オーナーの目的はレース参加を楽しむ事にありますから、しばらくの間は筑波や富士スピードウェイで練習走行を行う予定のようです。
JMIAがカーボンファイバー・モノコックの開発を始めた当初の目的は、このような初心者が安全にレースに参加できることを願っての事ですから、安全性を認められて参加者が増えることは、大変に喜ばしいことです。
3台目のUOVAカーボンファイバー・モノコックF4である、JIMゲイナー「GF401」は4月中旬に完成しましたが、北京モーターショーに展示するために、直ちに空輸されたため、実戦デビューはもう少し先となりそうです。
GF401は4/17に日本に帰っていますから、そろそろデビューとなる予定です。
また、いくつかのUOVAカーボンファイバー・モノコックを使ったF4の製作が進行しています。
4台目のUOVAカーボンファイバー・モノコックF4は、戸田レーシング製ホンダK20エンジンを搭載したムーンクラフトMC-090です。
発注したのは、西日本シリーズ開幕戦で西本直樹を破って優勝した吉田広樹が所属するTeamNAOKIで、西日本シリーズ第4戦鈴鹿から登場すると思われます。
どのチームが東京R&Dの連勝を阻止するのか、ますます興味が高まるF4シリーズです。
鈴木 英紀