現在幾つかのコンストラクターが、JMIAのUOVAソリッドカーボンファイバーコンポジットモノコックを使ったF4を開発していますが、東京R&Dに続く2台目をムーンクラフトが完成させました。 ムーンクラフトF4はMC-090と名付けられ、一号車は新たにトムスが開発したトヨタ3ZRエンジンが組み合わせられています。 自社内に風洞設備を備えるムーンクラフトらしく、空力に力を入れて開発されていることが特徴です。 ボディー形状はサイドポンツーン後端上面は大きくせり上げられていますが、下側は内側に大きく絞られて、非常にスリムな形状を形成しています。東京R&D以上に高くせり上げられたノーズは、ハイノーズであるだけでなく幅広く、ノーズ下面には大きなキールが設けられ、新しい空力デバイスが採用されていることも分かります。 ムーンクラフトによると、「MC-090はトータルな空力性能の向上を目指して開発しており、見た目だけでなく素晴らしい空力性能を実現している」との事です。 また、カウル類が合理的な作りとなっていることも特徴です。ノーズ上面のカウルは一体式で、フロントサスペンションのサービスパネルを兼ねています。このノーズ上面のカウルに複雑なラインが入れられて、サスペンションをクリアしながら、徹底したスリム化が追求されているようです。 ムーンクラフトF4はトムスが作ったトヨタ3ZRエンジンを搭載することもニュースです。トムスF4エンジンについては、改めてレポートする予定ですが、ムーンクラフトF4とトムスエンジンの組み合わせについて、エンジニアが工夫をしているため、ご紹介したいと思います。 F4に使われるエンジンは、市販されている状態から大きく改造することは出来ません。ピストンやクランクシャフトは当然ですが、シリンダーヘッドやブロックも変更することは不可能です。唯一許されている大きな変更は、ドライサンプとするため、オイルパンを作り替えることだけです。市販エンジンのシリンダーヘッドとブロックをそのまま使うため、エンジンをストレスマウントすることは不可能です。 エンジン左右にサブフレームを設けることが条件となります。 F4には525万円と言う価格制限が設けられていることはご存じだと思います。この範囲内で販売するには、コンストラクター同士が共同でパーツをオーダーしたり、共通パーツが使えるような工夫が必要となります。ムーンクラフトがF4の開発をスタートした時、既に東京R&DがF4の開発を行っていましたから、共有可能なパーツは出来るだけ活用してコストダウンを図ることが求められました。 しかし東京R&Dは、戸田レーシングが開発するホンダK20エンジンを搭載していますが、ムーンクラフトF4に積まれるトムスF4エンジンは形状が違うため、全てのパーツを共通化することは出来ません。 そのため、大物部品のベルハウジングは共通化を図りながら、周辺パーツはトムスのエンジニアのアイデアを盛り込んだ専用のサブフレームとして開発されました。 その結果、新型F4のユーザーは、同一マシンでも異なるエンジンを搭載出来ることになりました。 トムスエンジンを積んだムーンクラフトMC-090の1号車は、近々筑波サーキットを拠点とするユーザーにデリバリーされ、東日本シリーズを中心として活動することとなるようです。