Nov.12 2010
F4コンストラクターズ日本一決定戦直前情報
今週末、富士スピードウェイにおいて「F4コンストラクターズ日本一決定戦」が行われます。F4は水曜日と木曜日に走行時間帯が設けられ、金曜日は休日となるため、ほとんどのレーシングチームは水曜日に富士スピードウェイへ乗り込みました。
11月の富士スピードウェイですから、朝晩の冷え込みはあるものの、2日間とも晴天に恵まれ、ドランコンディションの中テストは行われました。
1990年~1993年、富士スピードウェイでインターF3が行われました。富士スピードウェイのインターF3はマカオGPの翌週に行われるビッグイベントで、世界中から各国のF3チャンピオンが富士スピードウェイにやって来ました。1990年、最初のインターF3の主役はミハエル・シューマッハとミカ・ハッキネンでした。世界中からやって来たトップドライバーに操られたF3は、富士スピードウェイの長いホームストレートにおいて、スリップストリームを使い合う激しい闘いを披露しました。
速いストレートスピードがポイントとなったため、上段のリアウイングを取り外したり、小さなリアウイングと交換するチームが続出しました。
当時のF3は現在のF4に非常に近い内容であるため、今週末富士スピードウェイで行われる「F4コンストラクターズ日本一決定戦」において、インターF3と同じ様なレースが繰り広げられることが予想されています。
富士スピードウェイに集まった25台のF4チームの多くは、少しでも速いストレートスピードを可能とするため、様々な工夫を凝らして走行しました。
最も積極的に速いストレートスピードを狙ったのは、唯一のトムス3ZRエンジン搭載車であるメッカのムーンクラフトMC-090でした。最初メッカは、リアウイングを低い位置に取り付ける一方、全幅の半分しかない、極端に幅の狭いフロントウイングを取り付けて走り始めました。写真をご覧になると小さなウイングが判ると思いますが、このように極端にダウンフォースを削ると、ラップタイムを追求することは出来ません。もちろん、決勝レースでのスリップストリーム合戦を睨んだテストです。
確かにストレートスピードは速くなったようですが、それはトップエンドだけであるようです。その事を確認すると、直ぐにメッカは次のウイングに交換しました。メッカは、他にも隠し球を持っているようです。
水曜日、B-MAXは、ウイリアムズF1と似たカラーリングのRD10Wに関口雄飛を乗り組ませてセッティングに励みました。関口雄飛はコースレコードを2秒を上回る1分42秒台を記録してB-MAXと東京R&Dを喜ばせることとなりました。
B-MAXの2台のRD10Wは、関口雄飛がセッティングを行った後、順調にタイムを上げ、派手なカラーリングで人気のDRAGONのRD10Wは1分45秒台を記録しました。
F4レギュラー陣も負けてはいません。ZAP F108は、ドラッグを削減するため、彼方此方の段差を徹底的に埋める作戦を展開しています。
木曜日にクラッチトラブルが発生したため、少々予定のスケジュールに狂いが出ているようですが、土屋祐輔はコンスタントに1分43秒前半のラップタイムを記録しています。
「週末派レーサー」のZAP F108は、木曜日から走り始めました。低い路面温度によって大きなアンダーステアに悩まされながら、どんどんラップタイムを上げてきました。
Team NAOKI with leprixの吉田広樹のムーンクラフトMC-090も、小さなスーパーFJ用ウイングを取り付けてテストを行いました。しかし、大きなアドバンテージを得られないと判断したようで、木曜日の午後から通常のウイングに戻しました。
東京R&Dは、3週間前のテストにおいてスーパーFJの小さなリアウイングを使用しました。最高速度は延びたようですが、ラップタイムには繋がらなかったようです。そこで通常と同じウイングをベースとして、左右を切り落としたウイングを作ってしまいました。
何度か富士スピードウェイでテストを行っている成果もあって、西本直樹が乗り組む東京R&D RD10Wは最もセッティングが進んでいるようです。最高速度はZAP F108と同じですが、木曜日に1分42秒66のトップタイムを記録しています。
これらのJMIA UOVAカーボンコンポジットモノコックF4の対抗馬と予想されるのが、No.71金井亮忠のWEST 056、No.26、花岡翔太のWEST 006、No.27柴田隆之介のWEST 006です。彼らは、ラップタイムでは西本直樹の東京R&D RD10Wや土屋祐輔のZAP F108に及びませんが、速いストレートスピードを持っています。2008年の西日本F4チャンピオンである花岡翔太のWEST 006は、ローダウンフォースパッケージをテスト中のメッカを除く、最高速度一等賞である237km/h(非公式)の最高速度を記録しています。
現在、各チームは最後のセッティングを行っています。予選と決勝レースで極端に大きくセッティングを変更するチームは無いようです。多少スターティンググリッドが後ろとなっても、決勝レースでの成功を睨んで、速いストレートスピードを選ぶか? 多少ストレートスピードが遅くても、より速いラップタイムを記録して前方のスターティンググリッドからスタートするか? 悩みは尽きないようです。
鈴木 英紀 著
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