●再構築されたF4東日本シリーズ 元々F4東日本シリーズ開幕戦は、3月13日ツインリンクもてぎで開催される予定でした。しかし、その2日前、東日本大地震が発生しました。既にほとんどのF4チームはツインリンクもてぎに入っていましたが、もちろん、13日に予定されていたF4東日本シリーズ開幕戦はキャンセルされました。 その後F4東日本シリーズのカレンダーが再構築されることが決定して、一旦キャンセルされたツインリンクもてぎの第1戦は、11月5日(土)にツインリンクもてぎで開催されることが決定しました。また、元々11月6日にツインリンクもてぎで開催される予定だった第6戦は、10月23日にツインリンクもてぎで開催されます。 当初5月22日SUGOで開催される予定だった第3戦は、併催されるスーパー耐久と共に、1週間遅れの5月29日同じSUGOで開催されることが決定しました。 現在各主催者が公表している、新しいF4東日本シリーズの日程を紹介しましょう。
第2戦 4月24日富士スピードウェイ 第3戦 5月29日SUGO*スーパー耐久 第4戦 7月3日筑波サーキット 第5戦 8月28日ツインリンクもてぎ東コース 第6戦 10月23日ツインリンクもてぎ 第1戦 11月5日(土)ツインリンクもてぎ*フォーミュラニッポン
●再スタートしたF4は関口雄飛が大差でポールポジション このような状況によって、4月24日富士スピードウェイにおいて、シリーズ上は第2戦ですが、実質的なF4東日本シリーズ開幕戦が開催されました。 ほとんどのレーシングチームは金曜日から走り始めました。しかし、予選が行われる土曜日の天気予報が雨だったことから、どのチームも基本的なセッティングを見出すことを優先としてスケジュールを組んでいたようです。 2週間前ニューマシンRK-01のシェイクダウンを行ったB-MAXは、早くも3台のRK-01を富士スピードウェイに持ち込みました。今回B-MAXが持ち込んだRK-01は、今年盛り込まれた新しいレギュレーションによって、カーボンファイバーコンポジット製の耐クラッシュ構造をノーズに備えています。ノーズ外皮が耐クラッシュ構造に取り付けられる構造であるため、写真では判り難いかもしれません。 シェクダウンを済ませただけのニューマシンですから、B-MAXは充分な走りこみを行いたかったでしょうが、土曜日の雨に備えて、夕方のセッションではレインタイヤの皮むきを行いました。それでも関口雄飛はトップタイムを記録しました。
B-MAXの関口雄飛の対抗馬と目されるのは、トヨタテクノクラフトが走らせる東京R&D RD10W/トムストヨタです。昨年F4東日本シリーズ最終戦でデビューしたトヨタテクノクラフトのRD10Wは栗原正之が乗り組みますが、小さいウイングと通常のウイングを付け替えながら走行を行いました。土曜日の雨を考慮すると、通常と同じ大きなウイングを使用してダウンフォースを追求した方が良いでしょうが、日曜日には晴れる予報が出されているため、少ないダウンフォースとしてストレートスピードを確保した方が有利と判断されるため、慎重に選択を行っていたようです。
予報通り土曜日は朝から富士スピードウェイは激しい雨に襲われました。朝行われたF4フリープラクティスの際、2度赤旗が提示され、チームNATSが走らせる、小倉可光のムーンクラフトMC-090/トムストヨタはクラッシュしてしまいました。 昼過ぎに行われたF4の予選は、雨が小降りの状態でセッションが開始されました。ほとんどのチームは、雨が小降りだった、最初の数分間にベストタイムを記録しました。優勝候補最右翼のB-MAXの関口雄飛は、セッション開始直後2番手を3秒も引き離す圧倒的なタイムを記録したため、直ぐに走行を中止しました。その後雨が激しく降り始めたことから、セッション開始直後にタイムアップ出来なかったドライバー達は苦しい闘いを強いられることとなりました。セッション後半、関口雄飛はB-MAXのチームメイトのタイムアタックを助けるため、ストレートでスリップストームを利用出来る様、再度コースインしますが、激しい水煙が立ち上がる状況とあって、スリップストームが使えるコースコンデイションではなかったようです。 もちろん圧倒的なタイムで関口雄飛がポールポジションを獲得しました。トヨタテクノクラフトの栗原正之は3番手で決勝レースをスタートすることとなりました。
●B-MAX RK-01デビューウイン 天気予報通り、日曜日富士スピードウェイは晴天に恵まれました。午前11時27分、予定より27分遅れでF4の決勝レースはスタートしました。圧倒的な速さでポールポジションを獲得したB-MAXの関口雄飛のワンサイドゲームが予想されましたが、関口雄飛はスタートをミスしてしまいました。辛うじてエンジンストールだけは回避しましたが、スタート直後ライバル達に周囲を囲まれ、1コーナーへ2番手で侵入しました。しかし、速さで大きなアドバンテージを持つ関口雄飛は、1週目Bコーナーの侵入でトップの座を奪い返すと、大きなリードを築いてホームストレートに戻ってきました。そのまま関口雄飛はリードを拡げ始めました。
2列目3番手からスタートしたトヨタテクノクラフトの栗原正之は、スタート直後3番手を走行しますが、その後6台によって繰り広げられた2位争いの中、頻繁に順位を入れ替えることとなりました。コーナー立ち上がりでは2リットルエンジンマシンの方が速いようですが、ストレートエンドでは1.8リットルエンジンマシンの方が速いようです。2位争いは最終ラップまで繰り広げられることとなりました。 関口雄飛のB-MAX RK-01は2位に25秒の大差を付けて、デビューウインを飾りました。関口雄飛は、2番手に1.6秒の大差を付けベストタイムを記録しました。
昨年2リットルエンジンとカーボンファイバーコンポジットモノコックが導入されたF4は、常にFCJと比較される存在となっています。エンジン出力はFCJの方が10馬力程度大きいと考えられますが、昨年富士スピードウェイでF4は1分41秒9を記録しているため、F4の方がFCJより速いと考えられています。 今回F4とFCJが同じ週末に行われたため、どちらが速いのか?注目されました。結果から言いますと、土曜日の予選が雨となったため、絶対的な速さの比較は不可能です。決勝レースでは0.149秒FCJの方が速いベストタイムを記録しました。ほとんど同じ速さと言えますが、ライバル不在によって一人旅となった関口雄飛の心境を想像すると、ベストタイムを追求する状況ではなかったかもしれません。