●F4東日本シリーズはB-MAXの関口雄飛がリード 今年のF4シリーズは、ニューマシンを投入登場させたB-MAXの関口雄飛、そして昨年後半大活躍を披露したZAPに乗る平川亮の闘いとなると予想されていました。ZAPの平川亮は西日本シリーズを中心として闘いますが、B-MAXの関口雄飛は、スケジュールが許す限り、東と西の両方のシリーズのタイトルを目指して参戦する計画でした。
西日本シリーズ開幕戦岡山では、関口雄飛のB-MAXが、平川亮のZAPを破って優勝しました。関口雄飛は、東日本シリーズ第2戦(事実上の開幕戦)富士スピードウェイでも優勝して、幸先良いシーズンをスタートさせました。 しかし、その直後、関口雄飛はF3への参加が決定しました。元々関口雄飛は、F4以外でもSuperGTへ参加していることもあって、非常に忙しくなってしまいました。 西日本シリーズ第4戦岡山のカレンダーが、SuperGT第6戦富士スピードウェイとバッティングしていることもあって、その後B-MAXは、東と西の両方のシリーズの様子を見ながら参戦する方向で、参戦スケジュールを見直すこととなったようです。
関口雄飛は東日本シリーズ第3戦(2つ目のイベント)SUGOをパスしましたが、第4戦(3つ目のイベント)で優勝して、ポイントリーダーの座を維持しています。今年の東日本シリーズで、関口雄飛のB-MAXは圧倒的な速さを発揮しているため、大きなトラブルが無い限り、関口雄飛のB-MAXがシリーズを席捲することとなりそうです。
●ダークホースの登場によって西日本シリーズは大混戦模様 西日本シリーズは、開幕戦岡山で関口雄飛のB-MAXが優勝しましたが、第2戦鈴鹿では平川亮のZAPが優勝しました。予想通り、西日本シリーズは、関口雄飛のB-MAXと平川亮のZAPの一騎打ちとなると思われました。しかし、その後関口雄飛が参戦計画を見直して、第3戦鈴鹿へのエントリーを取り止めたため、平川亮のZAPが西日本シリーズをリードするものと思われました。平川亮にとっては、最大のライバルが居ない間にポイントを稼ぐチャンスですが、シリーズの活性化にとっては大問題です。
ところが、先週行われた西日本シリーズ第3戦鈴鹿へは、新たなダークホースを含む20台のF4がエントリーしてきました。昨年スーパーFJで大活躍した中野貴功は東京R&D10Wで、ZAP陣営は、平川亮に加えて、手持ちのシャシーに、高星明誠、朱載維、近藤翼の3人のNDDPドライバーを乗り込ませて送り込んできました。 この3人は共にNDDPからFCJに参加しているが、一切手を付けることが許されないFCJと違って、F4ではセッティング能力も要求されることから、FCJでは学べないセッティングの勉強を行うことが目的だったかもしれません。NDDPによって、今後もZAPからNDDPドライバーがF4へ参加する可能性があるようです。 JMIA・UOVAカーボンファイバーコンポジットモノコックを使うマシンは7台(東京R&D×3、ムーンクラフト×2、ZAP×2)を数えるようになりました。
先週末梅雨が明けた鈴鹿は、一気に35度まで気温が上がりました。予選は、たった4周の周回によってZAPの平川亮が2分05秒474をたたき出してポールポジションを獲得しました。2番手に中野貴功のRD10Wが着けましたが、その差は0.81秒と、平川亮が圧倒的な速さを見せつけました。3番手はムーンクラフトMC-090の上田和秀です。 決勝レースも35度の暑さの中行われました。 ところが、スタートの際、フロントローの2台が共にスタートに失敗してしましました。ZAPの平川亮はエンジンをストールさせて14番手まで落ちてしまいました。何とか4番手で1コーナーへ侵入した中野貴功のRD10Wは、素晴らしい速さを発揮して、先行するライバル達を追い上げました。1周1台のペースでライバル達を抜いて、何とたった3周で中野貴功のRD10Wはトップに躍り出ました。
後方では、平川亮のZAPがベストラップタイムを更新しながら追い上げました。平川亮は、セクター1、セクター2、セクター3の総ての区間タイムでベストタイムを記録する一方、圧倒的と言える233.6km/hの最高速度を記録しながら、8周目に2番手まで挽回しますが、トップを走る中野貴功のRD10Wは9秒先を走っています。10周レースですから、残念ながら平川亮はフィニッシュまでに1秒を詰めるのが精一杯でした。 優勝した中野貴功は、昨年スーパーFJで大活躍した若干19才の新星です。何とF4デビュー戦で優勝する快挙を成し遂げました。
中野貴功のRD10Wが優勝したことによって、平川亮がポイントリーダーであるのは変わりませんが、関口雄飛、平川亮、中野貴功の3人が1勝ずつを上げた状況であるため、今回パスした関口雄飛のB-MAXにも、充分にタイトル獲得の可能性があります。 昨年の西日本シリーズ同様非常に興味深い展開となってきました。