皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
2022年3月より自動車レース工業会の会長職を承りました株式会社戸田レーシング、代表取締役会長の戸田幸男です。
略儀ながら会長就任のご挨拶をさせて頂きたいと思います。
日本自動車レース工業会(JMIA)は2008年の発足以来、お陰様で14年目を迎える事が出来ました。「自動車レースは自動車開発技術の戦いである」ことを原点に「技術とレース産業を育成することによって日本の自動車レースの発展振興を図る」ことを理念として日本の自動車レース関連企業約50社が参画し活動しているNPO法人です。
初代会長の林みのるさんに始まり、二代目会長の大岩湛矣さん、三代目会長の鮒子田寛さんから受け継がれた信念と多くの尽力、また、会員皆々様の積極的な協力のもと、様々な事に取り組んできました。JMIA企画として、JAF-F4のキットカー・カーボンモノコック構想を立案し、開発・製造・供給を実施、JAF-F4の世界に新しい流れを作ることを実現しました。また、FIAが打ち出した新規格フォーミュラであるFIA-F4の開発を進め、GTアソシエーションの協力のもと、FIA-F4日本シリーズにシャシーを供給、エンジンサプライ・レースサポートを実施し、2015年以降、年間十数億円規模のビジネスモデルを生みだすことが出来ました。さらにフォーミュラカテゴリーに留まらず、Super GT GT300クラス向けのマザーシャシも開発・供給を実現させました。
また2020年からは新たなFIAフォーミュラ・リージョナル車両が開発され、レースがおこなわれています。2024年から車両規則が変わる事が予定されているFIA-F4の準備として本年度より車両開発・エンジン開発・製造支援等があり、従前に増して日本のレース産業界発展の一助になるべく活動する所存です。
自動車レース産業には企画、デザイン、設計、試作、評価などの開発技術が存在し、加工、部品、電機電子、材料、ソフトウェアなどの要素・基礎技術が必要とされます。日本のレース産業界にはこれらの優秀な技術力・製品力を持つ企業が数多く存在します。しかしながら、その多くは中小企業であり、持てる力が十分に活用、発揮されていないのが実情です。日本のレース工業界の持つポテンシャルをフルに発揮するためには、技術開発・製作関連企業とカスタマー・ユーザーとが、これまで以上に密接に連携することが大変重要だと考えます。理想の形を具現化するために各方面への働きかけも含め力を尽くしたいと思います。そして、自動車業界は「100年に一度の大変革の時代」に入っています。モータースポーツの世界にもカーボンニュートラルの実現に向け、それらを念頭に置いた開発を進めて行くべきと考えております。日本でのものづくりをもう一度見直し、日本だけではなくアジア全域の自動車レース産業へと活動の幅を拡げたいと考えています。
最後に会長、副会長、理事の皆様とJMIA設立の理念である日本のレース工業会の一層の発展を図るべく、今後のJMIAの活動を通じて、その目標を必ず実現させると言う強い思いをもって取り組む所存です。
そして、会員各社様、多くの関係者の皆様と共に自動車レース産業の発展のために努めてまいります。
今後ともご支援、ご協力を宜しくお願い申し上げます。
2022年3月8日
日本自動車レース工業会
会長 戸田 幸男